Libra Creditのホームページとホワイトペーパーを読んで簡単にまとめてみました。
全体像
Libraは2012年から中国で貸付のビジネスをやっています。そのため、ある程度の実績が既にあり、貸付のサービスがPlay Now, Pay Later
というゲームを通した貸付です。詳細は書いていなかったので想像ですが、金なくても課金していいよ、後で払ってね
という感じのビジネスがイメージできます。信用力を算出するためにAI(?)を導入しているようです。
ビジネスモデル
1. 借入の入金をするためのパートナー
2. KYCデータを保有するパートナー
3. 貸し手
4. 取引所
サービスを実現するために上記のようなネットワークを構築する予定です。図が少し見にくいですが、借り手のウォレット(1)と、個人認証(2)、貸し手(3)、担保の管理(4)のためのネットワークと考えておけば良いでしょう。貸しては、銀行とか、ファンドとか、プロの投資家になるので、P2Pのレンディングという訳ではないです。
特徴1:パートナーネットワーク
stablecoinのプロバイダーとしてはMakerDAO、個人確認としてはuPort、金融機関としては銀行をパートナーとしてサービスを行います。多くのパートナーと組む事で仮想通貨建、fiat建の両方で対応できます。
特徴2:AIを使った信用力のスコアリング
信用力のスコアリングをはじめ、リスクマネジメントのテクノロジーは中国、ASEANで開発してきました。担保の回収可能性
と借入する人の信用力スコア
から、最終的な信用力を判断します。
特徴3:選択肢(担保、借入のペア)
- [担保:仮想通貨、借入:fiat] 仮想通貨のポジションを変えることなく、fiatを使用できる。
- [担保:仮想通貨、借入:stablecoin] 仮想通貨の変動をヘッジすることができる。
- [担保:仮想通貨、借入:仮想通貨] 仮想通貨をもとに、より流動性の高い仮想通貨を借りることができる。
特徴3からもわかるように、Libra Creditは基本的にレバレッジを利かせるサービスの気がします。
開発領域
Libraはプラットフォームとしての役割を果たします。また、個人の信用力を計算するAIベースのエンジンを開発しています。
(A) Libraのプラットフォーム
(B) 貸付をするためのパートナー(個人の信用情報や信用力算出のためのAI)
(C) 信用力を算出するエンジン(Libraが開発する)
(D) Ethereum Blockchain上のスマートコントラクト
A,C,Dと、BとのインテグレーションをLibra Creditが開発します。
使い方
Libbraのコミュニティに所属しており、XYZトークンを保有しているBobが30日間USドルを借り入れるケースを考えて見ましょう。
Step1: Application
LBA(Libra Creditのトークン)を保有して、Libraのプラットフォームのメンバーであれば、モバイル端末からLibraのアプリケーションにアクセスして、必要事項を提出します。
Step2: Verification & Credit Assessment
提出されたデータをLibraが確認しますが、uPortなど他の情報も同時に確認します。提出されたデータを元にスコアリングします。その後、Libra Creditが借入条件を決定します。例えば以下のようなもの。
Step3: Notification & Confirmation
アプリかSMS、emailでBobに対して最終確認が届きます。その条件で受け入れるかどうかBobが確認します。(ワンクリックで可能)
Step4: Collateral Deposit
BobがXYZトークンをLibra Creditのe-walletへ送ります。
Step5: Disbursement
USドルがすぐにBobのwalletに送金されます。Bobが受け取りをAlipayやWechat Payなどのデジタルウォレットを指定した場合は全ての手続きは数分で完了します。もし銀行口座を指定した場合は、1営業日程度の時間がかかります。既存の金融機関からの借入だと、通常2~4週間の時間を要します。
Risk Handling Mechanism
XYZは変動するため、例えばXYZが10%下落すると、担保/借入金額の比率は、112.5%となります。
125% * (1 - 0.1) = 112.5%
この比率が設定されている値を下回ると、それがトリガーとなり、担保を追加しなくてはいけない旨の連絡がスマコンからBobにいきます。なので、かなり担保条件も厳しいように思います。